第31章 arousal
『ヤレヨ、スキナダケ』
──── ドクン
許された 衝動
肯定された 欲望
解放された 抑圧
それに反応した、大きな鼓動
『クイタキャ、クエ』
──── ドクン ドクン・・・
アルコの視界に映るローの姿は、鼓動に合わせて二重にブレては重なった。
「うぅぅ…、ぁ、だ、…め」
アルコはローの手を振り払い、再び顔をふせてうずくまる。自由になった手で胸をかきむしりながら、肩で荒い呼吸をした。
「ダメじゃない。大丈夫だ」
そう言って再度、アルコの肩に触れる。
その瞬間 ────
アルコはガバリと起きあがり、ローの首筋に抱きついた。
そこに唇を寄せたと思うや否や、鋭い歯を立てて噛みつく。
「…ぐッ、……!!」
ローは痛みに顔を歪めた後、その傷口にアルコの頭を押しつけるように抱き締めて微笑んだ。
──── あぁ…痛ェ…
…でも……
傷口に口づけてコクコクと血を飲み下すアルコを受け入れる。採血や出血とは異なる、リズムと勢いをつけて生命力ごと吸いとられるような感覚に、ローは ある種の快感を覚えた。我が子に母乳を分け与える母親はこんな気分なんだろうか。そう言えば、母乳も血液から生成されるんだったか。ローはアルコに血を分け与えながら、ぼんやりとそんなことを考えた。
ひとしきり渇きを潤した彼女は、我に返ったようだった。