第31章 arousal
「食べたい? ヤりたい? それとも…また深く眠りたい?」
モネは選びとった1枚のビスケットをかじった。
「あんなに長い間 眠っちゃって。元々バランスが悪そうだものね。一体どんな反応を示すのかしら…フフフ」
ポリポリとかみ砕き、ビスケットを紅茶で流し込む。しかし彼女の身体には異変は起こらない。
“気付け薬”と“ビスケット”
“種”と“栄養分”のように2つが合わさって初めて反応を起こす仕組みだ。
外の雪は激しい風に乗って窓を打ち付け、窓枠が音をたてて軋む。
不安を煽るようなその音を、モネは心地よさげに聞いた。冷たい瞳を横に細めてうっすらと微笑みながら紅茶のカップを傾けるが、背後の気配に驚き、目を見開いた。
「!!」
「なんだ。ノックはした」
「…は、早かったのね」
「……“M(マスター)”に渡しとけ」
帽子やコートに雪を乗せたままのローはそう言って、記録用 子電伝虫をモネに放った。