第8章 衝動 【マリンフォード 頂上戦争】
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翌朝、ローとベポが食事を持って部屋を訪れた。体温や血圧を測定され、昨日治療した患部を確認し、薬を渡される。
「アレだけでコレか…」
「……」
ローはそう つぶやいたが、アルコには『ドレだけでソレ』なのかはわからなかった。
(コレは…予想以上にかかりそうだな)
─── 刺激に対してもアレルギー反応が激しいのだろう。免疫系は専門外だし、ここでは万一の際の治療設備が足りない。当初考えていたよりも治療のペースを落として、場合によっては船を降りることも考えるべきだな…
「大丈夫? 顔赤いね。かわいそうに」
何かを考えているローをみつめていたアルコは、ベポにそう言われてギクリとする。
『これだから、女は困るな』
先ほど生み出したその言葉を心の中から引き出して、平静を保つ。
「うん、熱い。でも、大丈夫」
額に手をあてて、微笑んでみせるがその仕草と表情に力はない。
「キャプテン、本当にこのまま進むの…?」
心配そうなベポは何か言いたげだ。
ローはアルコを見据える。
「熱は数日で下がるハズだ。
船は…マリンフォードへ向かっている。島へは引き返さない。
……大丈夫そうか」
「もちろん」
アルコは熱っぽさで潤む瞳にありったけの力を込めて、返事をした。