第31章 arousal
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──── 翌日
アルコはひとりきりの部屋で目を覚ました。彼がいつも寝ている革張りのソファは冷たそうに黒光りしている。
『必ず3日で戻る』
そう約束してくれた
2晩だけ
たった2晩だけ
だからあと1晩だけ
今日と今夜をやり過ごせば
もう明日には帰ってくるんだから
部屋から出られないという状況はミストリア島の時と同じだったが、あの時とは不安感がまったく異なる。
知らない島
怪しい研究所
目覚めたら ここにいたので、そもそも この部屋しか知らない。
この島やこの建物がどれくらいの大きさで、どんな人達がどれくらいいて、どんな生活をしているのか。何もわからない場所に閉じ込められているので、常に落ち着かない。それは恐怖に近かった。
それでも『何も知らないことが“私のため”だ』と言うローを信じていれば、その気持ちもなんとか誤魔化せた。
しかしその彼が側にいてくれないとなると ────
『行かないで欲しい』
『ひとりにしないで欲しい』
『側にいて欲しい』
『本当は不安で たまらない』
しかしローの自由を願うアルコには、到底そんなことは口に出せなかった。