第31章 arousal
*
──── その翌日
「うわ、なんだこの部屋…! あっちィな!!」
ローが滞在しているR棟 最上階の部屋に足を踏み入れたシーザーは、元々歪んでいる顔を さらに嫌そうに歪めた。
「うっ…」
モネに至っては部屋に入ることも出来ないようで、観音開きの扉から漏れでる熱風からその身体を守るように翼で顔を覆っている。
ローは 下がり続けるアルコの体温を放っておくことが出来ず、研究所内から暖房器具をかき集めて設置した。しかしそれが逆効果とでも言うように、アルコの体温の下降はジワジワと速度を上げたようだった。ローは藁(わら)にもすがる思いで、シーザーを部屋に招いたのだった。
「体温は?」
「…32.5度」
ローは返答しながら、体温の下降を記録したグラフをシーザーに手渡した。シーザーはそれを一瞥しただけでローに突き返し、アルコに歩み寄って観察をし始めた。
シーザーはアルコの首筋にくっきりとつけられた赤い跡を小さく鼻で笑ってから、四本の指先でアルコの首筋に触れた。
呼吸器を外し、顔を近づけ自発的な呼吸を観察している。
呼吸器を外したことで、呼吸数と心拍数が落ちたモニターを、ローは内心 焦る思いで見ていた。しかし平静を装い、シーザーのやることに決して口を挟まなかった。