第31章 arousal
唇を離すと、首筋に赤い跡がついた。それを見下ろしながら、ローは考える。
なぜ このような状態になってしまったのか
珀鉛病の進行や治療と何か関係があるのか
それとも彼女の“心”に何か原因があるのか
ミストリア島での彼女の様子に、心当たりはなかった。
島に到着した日、セックスをした後、珀鉛病によるほほの白いアザを消した。
“アルコらしく いられるように”
そう願って
毎朝 一緒に朝食を食べた。
買い物をさせた。
美容院に行かせた。
爆発事故に巻き込まれて怪我をしたが、二人とも致命傷は免(まぬが)れた。その後、互いに痛む身体を癒すように…セックスをした。
そういえば最後のセックスでは少し痛がっている様子があったが、彼女は それを懸命に隠していた。“アルコを庇って怪我をした”おれに申し訳ないと思っていたのだろう。
「…自分だって怪我をしていたのにな」
アルコの両肩から腕にかけて、視線を落とした。その時の傷は、もう すっかり治っていた。