第30章 in the fog 【後編】
「ロー…、大丈夫?」
「ああ…、アルコは?」
「私は大丈夫。ローの肩の傷、もう少し自分でなんとかした方がいいかもしれない」
アルコはローが身体を起こすのを手伝って、傷口を確認させた。
アルコはローの指示に従って、荷物から縫合針や糸、痛み止めの注射を取り出した。処置が終わるとアルコは持ってきたお湯とタオルでローの身体を拭いた。
「悪いな」
「いいの。だって…、私を庇(かば)って怪我をしたんだよ。こちらこそ、ごめんね」
「爆発で…? そう…、だったか」
ローは身体を拭くアルコを見て、確認を促した。しかし彼女は目を合わせてはくれず、丁寧に身体を拭く作業に集中していた。
爆風で何かが飛んできて、アルコを庇い刺さったのか…
ローは虚ろな記憶にそう言い聞かせ、身体を拭き終わったアルコに手伝ってもらいながら、その刺し傷のような肩の傷に再び包帯を巻いた。
「それ、みせろ」
ローはアルコの両腕の傷をみせるように言うが、アルコは肩をすくめて それを拒否した。
「これは、大丈夫。本当に かすり傷。熱も出てない」
「そうか。…念のため…、ついでだ」
ローは痛み止めの注射をアルコの目の前にかざす。アルコは両腕を揃えて差し出し、大人しくそれに従った。