第30章 in the fog 【後編】
「アルコっ…! あなた、何やってるの?!」
アルコの行動に驚いたプリンは、自分の立場も忘れて問い詰めた。
『ローってば“王子様”って言葉、全っ然似合わない人だから』
『でも、…“王子様”って呼んであげてもいいのかな』
『ロー』って言ってたじゃない
あなたの“王子様”の名前
あんなに 嬉しそうに
あんなに 幸せそうに
あんなに 心を込めて
その人はあなたの
大切な人なんじゃないの…?
「彼の…、彼らの“今日の記憶”を 全部奪って」
アルコはどこか思い詰めた表情でプリンに言った。
プリンとカタクリは アルコの意図が理解できず、いぶかしむ。
「勝手なことを…、おれ達に指図するな」
「待って、兄さん。アルコ…、どういう意味なの?」
「……あなた達は、ここでのトラブルをなかったことにしたいんでしょう?」
「…そうだ」
カタクリが警戒心を緩め、アルコに話すように促したのは、彼女が重要な情報を喋りだす“未来”をみたからだった。
「ドフラミンゴとローが、この屋敷で出会ったのは偶然じゃない」
「どういうこと?」
「この二人には、深い因縁がある…。それに この屋敷より前に、今日 この島のどこかで会ってる」
アルコは確信していた。
だって今朝は普通だった
ローの様子は
一緒に朝食を食べて、穏やかな時間を過ごした
私が買い物をしたり、お菓子を作ったりして…、ホテルの部屋に戻ってきた時には、様子がおかしかった
あの間に、きっとドフラミンゴに接触したたんだ
いや、直接は会ってないかもしれないけど、何か重要な情報を得たんだ
だから、屋敷の爆発音を聞いて、駆け出したんだ
そこにドフラミンゴがいるとわかっていて ────
「このトラブルの“きっかけ”から消去しないと…、二人はまたお互いを追いかけ兼ねない」
ほんの些細なきっかけでも
ほんのわずかな記憶でも
残っていれば、そこから探り当てるだろう
きっと手繰り寄せるだろう
それほどまでに、この二人は『お互いがお互いの存在に執着している』
まるで愛憎の念で
アルコにはそんな風に思えた。
それに ────
『お前の想いには 応えられない』