第30章 in the fog 【後編】
突然 横から来た衝撃波で、二人の身体は吹っ飛び 引き離された。
比較的耐えられたのはアルコの方だった。アルコは転がりながらもすぐに立ち上がり、カンフーの構えで現れた老人から、ローを庇うように立ちふさがった。
「若に楯突くならば…、女とて容赦せんぞ!」
「わっ…、うわ、何? このおじいさん…、強っ?!」
老体から繰り出されているとは思えない重い蹴りや突きが連続してアルコを襲う。アルコは剣の幅広い部分を盾にして、その衝撃を受けた。
「アルコ!」
「余所見(よそみ)してる余裕なんてあんのか…?」
「くそっ…」
鞭のように しならせた糸を振りかぶったドフラミンゴがローに迫る。
ローは先ほどのスキで離脱しなかったことを後悔した。
何とかしてアルコだけ逃がすつもりだった。しかしアルコはひとりで逃げる気など更々ない、とでも言うように、ラオGを相手に応戦し始めている。
次の好機で、二人で離脱する…!
一旦どこかに身を隠し、アルコを説得して…、いや、力づくでもどこかに隠して置いていく
ローは、もはや二人で逃げ切れるとは思っていなかった。
自分ひとりなら何とかなるかもしれない。一度は従うフリをする。その後ドフラミンゴのスキをついて“鷹の目”に連絡をとり、アルコを任せる。
自分ひとりなら、従うフリも、スキをつくことも考えられる。ついでにヤツの弱みや情報を得ることができれば…。そのためにはアルコがヤツの手中にあってはならない。
ローは刀を能力で取り寄せて、ドフラミンゴの糸の攻撃を絡めとった。
「“弾糸(タマイト)”」
「二度は喰らうか」
弾丸のようなドフラミンゴの攻撃は空を切った。糸で引き寄せていたハズの力も急に手応えがなくなる。
ドフラミンゴの後方に瞬間移動したローの一太刀は ────
少し離れたところで闘っているラオGの右腕を斬り落とした。