第30章 in the fog 【後編】
霧の街の坂道を駆け登る。
ローは走りながら思考を整えた。
『金持ちの息子が、女絡みのトラブルで命を狙われてるんだとかいう話だよ。“危険なファミリーの女”に手を出したとかで…、その護衛さ』
『さっさと“ベビー5”の件を終わらせる』
アルビダとドフラミンゴの言葉を思い出し、繋いだ。
“危険なファミリーの女”とは“ベビー5”のこと…
アイツも年頃の女になっているハズだが、変わらずドフラミンゴの元にいるということか
『え…、私、必要とされてる…っ』
子供の頃から過剰な自信の無さからくる妙な思考のクセがある女だった
この島の金持ちの息子に、借りでも作ったか、都合のいいことを言われてそそのかされたか…
ドフラミンゴが“ファミリー意識”の強い男であることも、相変わらず
ドフラミンゴはベビー5がその男に利用されないために、ソイツを始末するつもりなんだろう
いや…、“ベビー5が利用されないため”ではなく、自らが“ベビー5を利用するため”に
坂道を登りきったところにその豪邸はあった。鉄格子のような門扉は、折れ曲がり外されて、開け放されている。
その脇に、血を滲ませたモージとライオンのリッチーが倒れていた。
「オイ…、生きてるか」
「…ハァ…、お、前か…、トラファルガ…、ロー…」
打ち身か
斬られたというよりは殴られたような怪我だった。ひどくボロボロだが、意識はあった。
「ドフラミンゴだな」
「知って、るのか…、頼む、アルビダ姉さんを…」
「勝手なことを言うな」
おれには関係ない
ドフラミンゴを止めるのは、お前達のためじゃない
しかし死にかけて絶望している男に、丁寧に説明してやる義理も暇もない
リッチーが弱々しく唸り、モージの服を咥えて茂みに引き摺ろうとしていた。
「ああ、身を隠してろ」
リッチーにそう言って、ローは屋敷へと走って行った。