第30章 in the fog 【後編】
ローはアルコに手渡されたカップの紅茶をすすり、飲み下した。
適温でスッキリした味の液体は、喉を心地よく降りていくが、渇きが満たされることはなかった。飲んでも飲んでも、口は渇く。自分の呼吸と鼓動が速くなっているからか。
しかし少し落ち着いたローは、ようやく具体的な考えを巡らせることができた。
おれは どうすべきか
アルコにとって どうすることが最善策なのか
いっそアルコの身柄を海軍に預けるか
─── いや、これからおれがやることを考えれば、海軍は安全ではない。“ヤツ”は七武海でもあり、表向きは“ドレスローザの現 国王”。そんな ヤツに直接 挑むことになるかもしれない。その際は、おれの方が“反逆者”“協定違反者”として扱われるだろう。
そう考えると海軍は安全ではない。むしろ抵抗した おれの人質として扱われる可能性もある。
となれば、やはりこの状況で頼れる人物はただ一人
“鷹の目”ジュラキュール・ミホーク
どうにかして“鷹の目”の元へ送り届けるか
治療を後回しにしてでも
─── いや、治療は必要だ
とくに体内の珀鉛は、これ以上 先伸ばしには出来ない
治療を出来る限り進めて“鷹の目”に迎えに来てもらう、それがベスト
アルコは
納得してくれるだろうか
ここに置いていくことを
一番 優先すべきことは
アルコの“生命”
そして とくに自己防衛反応の強すぎる彼女の場合、無意識に その“生命”と直結している彼女の“心”を傷つけないこと
一番 最悪なことは
できない約束をして
無責任なことを口にして
そのままおれが死んで いなくなること
『あの日』おれが されたように
おれが『あの日』の呪縛からいまだに解き放たれないのと同じように
そんな最悪な事態になるくらいなら
それならば いっそ ────