第30章 in the fog 【後編】
「おかえり。はやかったね」
「ああ…」
「?」
アルコは ひと目みただけでローの様子がおかしいことに気づいた。
どうしたの…?
なんだか、とても不安そう
寂しそう
悲しそう
それでも、いきなりアレコレと詮索することはしなかった。
自分だったら どうして欲しいか
アルコは常にそう考える。自分の価値観を相手の考えに当てはめる、自己中心的な考え方ではあるが、それがアルコの ─── いや、多くの人が相手を思いやる時の“優しさ”だろう。それが『好きな人』に対するものであれば、なおさらだ。
自分なら……きっと彼なら、あまりうるさく詮索されたくないだろう
アルコはローの変化をあまり気にしすぎないように、いたって普通を装い声をかけた。
「紅茶、淹れるけど。飲む?」
「頼む」
ローはベッドに刀と帽子を投げ置き、そのままベッドに座った。
窓辺のテーブルと椅子に対して背を向けて座ってしまったので、ローのために準備したお菓子には気づいてもらえなかった。