第30章 in the fog 【後編】
「トラファルガー……、ローじゃと?!」
「ほぅ……おもしれェな…。ローが この島に…?」
突如、ドフラミンゴは 高らかに笑い声をあげる。その妖しい笑い声に驚いた筋肉質の男は、荷物を下げて改めて その男を見た。
「ゲッ…、お、お前…、ドンキホーテ・ドフラミンゴ……!! 七ぶか」
男がそこまでしか言えなかったのは、身体に何かが巻きついたように絞り上げられたからだ。
宙を掴むように差し出されたドフラミンゴの手には さらに力が込められ、男は荷物と一緒に通りにドサリと倒れこむ。
「フッフッフッフッ……、
そりゃァ いい。
あの女だけでも、連れて帰りゃァ…、いいエサになる……」
「しかし、若…、今回はワシらに あまり時間の余裕はない。ベビー5の件が終わったら、カイドウとの取引をなんとか都合つけにゃならん」
「…いや、ラオG…。“あの”ローの女だろう? それが本当ならば、これは優先すべき大事な事項だ」
ドフラミンゴは実に嬉しそうに口の端をニヤリとあげた。
「ローの女を使えば、アイツを“再教育”することも可能だ。“おれのために死ねる教育”を…な」
ドフラミンゴは一番下っ端の男に、女の尾行につくように指示をした。
「さっさとベビー5の件を終わらせる」
濃い霧を含んだ風が吹いた。
アルコの尾行につかせた男と 道端に倒れた男を残して、一行は高台への坂道へ歩みを進めていく。
アルコは少し嫌な気配を感じて、後ろを振り返った。
濃い霧の向こうには、この島のシンボルツリーがうっすらと見えた。白い霧の向こうにチカチカとカラフルな輝きが一瞬目に入る。しかし、アルコは慌てて視線を戻して歩き始める。うつむいたその顔は、こらえきれない笑みにあふれていた。
きらびやかに飾られた あの木は、今夜ローと一緒にみるんだ
今、みてしまっては
その時の感動が薄れるだろう
リアクションがわざとらしいものになるだろう
だって 私は
嘘が 苦手だから ────