第29章 in the fog 【前編】
ガラス玉の隣には、同じくらいの大きさの紐(ひも)のようなもので編み込まれたカラフルな玉が積まれていた。アルコは そのうちの1つをつまみ上げて、目の前にかざした。
「それは、水引(みずひき)細工と言って、ワノクニの伝統工芸品じゃよ。紙の紐で出来とる」
「へぇ…、紙?」
細い紐を複雑に組み込んで作ってある。つやつやしていて何か特殊なコーティングでも施されているのか、とても紙で出来ているとは思えなかった。
繊細に見えるが、触ってみると固い。剛の中に少しの柔軟性を感じた。
「それにするの?」
「いや…、コレは」
無意識に手に取った緑色と白のグラデーションの紐で編まれた水引細工は、ローというより どちらかというとゾロを連想させられるアイテムだ。
「それは…、ええと、あったあった。『縁(えん)』じゃな」
「縁…」
その男性との関係や今後を意味するアイテム。アルコはゾロとの“縁”を思い返していた。
“縁”あって 私達は出会い、一度だけ身体の関係を持った
ミホークの元で再会した時、私達は死闘とも言える剣の交え方をした
同じ船に乗った“縁”
同じ師匠に教えを受けた“縁”
どんなに離れていても、意識せざるを得ない存在
私達はまたどこかで出会うのだろうか
私達の“縁”はまだ続くのだろうか
「面白いね、占い要素。でもなんか怖いな。言い当てられそうで」
「占いっていうか、迷信みたいなもんでしょう。そこまで信じられるものかしら」
プリンはこの島の人間ではないからか。アイテム占いにはあまり重きを置いていないような言い方だ。