第29章 in the fog 【前編】
「いいわ。ちょうどキャンセルが入ってたところ…、オーナー、いつだっけ?」
「え~と…、3日後ですじゃ」
シルクハットの老人はデスクに戻って紙をめくりながら答えた。
「3日後…、ちょうど祭りの前夜祭が始まる日か。あなた、ラッキーね」
「あ、ありがとうございます」
今から作らせてもらえるんじゃないのか
まあ、準備も何もしてないし、その方がいいかもしれない
「じゃあ…アイテムだけ、今日選んでいきなさるかい?」
「そうね。アイテム選びと何のお菓子を作るかだけ、決めておきましょう」
「アイテム?」
「そう。お菓子の中に入れる、アイテム」
「お菓子の中に??」
占い要素もあるお菓子作りが、この島の伝統らしい。手作りお菓子の中には、女性が相手の男性をイメージしたアイテムを選んで入れる。そのアイテムは1000種類以上あるようだ。選んだアイテムにはそれぞれに意味があり、その男性との関係や今後を暗示する占い要素がそこに含まれている…、ということらしい。
「1000種類!!?」
「そこのテーブルに並べてあるものじゃよ」
「1つ1つに意味があるのよ。例えば…、これなんか」
プリンはごちゃごちゃしたテーブルの上から、1つのアイテムを取り上げた。それは一見 透明だが よくみると中が虹色が輝くガラス玉だった。アルコはそれをみてルフィの笑顔を思い出した。
「これは『JOY(ジョイ)』…『喜び』を表しているのよ」
「へぇ~、面白い」
「もちろん、コレは食べられんからのぅ。もらった男性はお守りにしたりアクセサリーに加工したりするのが定番じゃ」
アルコは立ちあがり、キラキラした目でテーブルの前に立った。プリンが取り上げたガラス玉は他にも、黄色、赤、紫、青…など色々な色がある。それぞれに意味があるということか。