第7章 鏡
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船長室のソファに座らされたが、ローはベッドの奥にある窓に手をかけて、海中を覗きこんでいる。
(あのベッドからは窓が見えるんだ。
……いいなぁ)
停泊中なので潜水艦は浮上しているが、船長室があるのは船の一番底。浮上していても、ここは海中だ。
今夜は満月。月光と港の街灯が海底まで射し込み、窓の外には水深10mほどの薄暗い幻想的な世界が広がっている。
ローはアルコに歩み寄り、首輪に手をかける。
「持ってろ。動くなよ」
ローはアルコの耳の下に片手を置き、反対の手は能力を発動するために構える。
アルコはその腕をかわして、喉の部分を両手で押さえた。
「ROOM…………“シャンブルズ”」
シュッ…ン!!
ボカァァン!!!!!
大きな爆発音がして、潜水艦がぐらぐらと揺れた。
甲板から『敵襲ー?!』という大声や慌てた様子の足音が聞こえた。
ローはソファの上の壁に張りついた金属製ホーンのふたを開けて「問題ない。今のは おれがやった。寝てろ」と言うと、甲板は落ち着きを取り戻した。
アルコの首から、ボタボタと液体が垂れて、冷たさを感じた。
見ると首輪はなくなり、代わりに握りこぶしくらいの大きさの岩ようなものに手を添えていた。
海底の岩だろうか。
よく見ると、岩には赤い結晶のようなものがついていた。珊瑚(サンゴ)だ。