第7章 鏡
「ありがとう」
服で海水を拭いながら、首輪を外してくれたことお礼を言うと、
「『お仕置き』が必要な時は、別の方法でやらねェとな」
といつもの顔でニヤリと笑った。
ローにそう言われても、アルコはもう ちっとも怖くなかった。その顔は出会った時と同じだったが、アルコはローへの印象がすっかり変わったことに気づく。
彼の歪んだ表情や言葉の裏には、本当は優しさがあるような気がした。
「『お仕置き』するの?『こんな身体』に?」
ミホークと話すことができ、クルー達のあたたかい歓迎も受けて すっかり余裕を取り戻したアルコは、ローの言葉に臆することなく、同じくニヤリとした笑顔で返す。
以前、ローに言われた嫌味を交えた軽口のつもりだったが、彼の表情は急に真剣なものになった。
「悪かったよ。
……若い女だ。そこまで見た目が気にならねェ ガキとは違うよな」
「……ガキ? ……珀鉛病の子供…を、治したことがあるの?」
アルコは察っしたが、ローは何も答えなかった。
「おれは お前の『そんな身体』でイケると思うんだが」
「………おやすみ」
急にまた品のないことを言い出したローを背にして処置室に戻る。
新しく置かれたドレッサーの前に、ハートのネックレス、革のグローブ、珊瑚のついた岩を並べて置く。
ドレッサーの丸い鏡は、2人の部屋を仕切る開け放された扉を写していた。