第1章 “麦わら”との冒険
ローグタウン
“剣士”とともに訪れた『いっぽんマツ』の武器屋。
*
「おれの『運』と三代鬼徹の『呪い』…
どっちが強ェか試してみようか…」
「バカなマネはやめろ!!!
腕が無くなる!!!
斬れ味は本物だぞ!!!!」
入り口付近の壁にもたれて、店主に“トロ女”と呼ばれた眼鏡の女性と“剣士”のやり取りを微笑ましいげに眺めていた彼女も、さすがに驚き目を見開いた。
スルッ
妖刀は当然のように、“剣士”の腕をすり抜ける。
トン…!!
深く床に突き刺さった刀。
「もらってく」
*
武器屋を出た“剣士”は、上機嫌に3本の刀の頭をさすっている。
2、3歩後ろを歩く彼女は、その姿をぼんやりとみつめていた。
──── まただ
この“剣士”の生命力を見せつけられた
焦燥
胸がザワザワする
“剣士”は、妙な気配を向けられたことを知ってか知らずか、後ろを歩く彼女に前置きなく話しかけた。
「『それ』、折れねェのか」
そう言って“剣士”は親指を立て、自分の背中を指す。
「ああ、『これ』?」
彼の言う『それ』が、彼女の背負っている竪琴の中の剣を指していることを理解した。
折れるわけがない
彼女の剣は、覇気を纏っている。
「鍛えてるからね」
「そういうもんか?」
「刃こぼれしようものなら…怒られちゃうよ」
“剣士”の肩がピクリと反応する。
──── しまった
自身の武器の扱いについて話したつもりが、彼にとって無視できない“鷹の目”を連想させることを言ってしまった。
彼のプライドをくすぐろうと、慌てて言葉を繋げた。
「あんな鬼みたいな戦い方、折れてもしょうがないよ。むしろ覇気なしであそこまで…」
「ハキナシ?」
──── さらに しまった
ここは “最弱の海”・イーストブルー。
彼に覇気の概念を伝えるには、少々面倒そうだし、自分が教えたところで、意味はないだろう。
こればかりは、己で体得する『感覚』なのだ。