第28章 甘いもの
「ほらよ。約束のもの」
一連の騒々しさにあきれて、側にやってきたアルビダがアルコに麻の袋を渡した。
「わぁ! ありがとうございます」
アルコは礼を言ってから、中身をのぞいて確かめた。それをモージが横から覗きこむ。
「姉さんに、何もらったんだ?」
「化粧品」
「は~。女は面倒だな、リッチー」
「ガウッ」
「うるさいな」
モージとリッチーに気だるい目を向けたアルコ。目の前では、腹の虫がおさまらない様子のローが、積み上げ終わった男達を再びバラバラにしている。それをみてアルビダが頭をかかえた。
「はぁ~、めんどくさいのは男も同じじゃないか。もうすぐ出航なんだから、なんとかやめさせてくれよ。よっぽどアンタのことが好きなんだね、あの男は」
「え」
アルビダの言葉にアルコの思考は止まった。
え
今、なんて?
「『え』じゃないだろ。なんだい、今さらカマトトぶって。
…まぁ、私も男を信用してないけどね。
男なんて見た目で態度変えるヤツばっかりなんだから」
そう言ったアルビダは、遠い昔を思い出しているような目をしていた。アルコはそれを不思議に思った。
アルビダさん
見た目の悩みなんて、まったく縁がなさそうなのに
美人には美人の悩みがあるのかな
「しかし、わざわざ卵をなぁ~。卵なら『ユキちゃん』が産むのに」
「ええぇっ??!!」
モージの言い放った衝撃的な事実に、アルコは大声をあげる。その声に『何事か』とローは男達を刻むのをやめた。
「そうとも!! 言っただろ? ユキちゃんは世にも特別なヤギだって」