第28章 甘いもの
アルコはホッとしてローを出迎えた。
しかしローのその顔は どこか納得いかない、といった様子だ。
「おかえり。どこまで行ってたの? もうじき出航するって」
「いねェぞ」
「?」
「島の隅々まで探したが…、鶏はいない」
「に、にわとり…? を、探してたの?」
「ああ。あの鳴き方は、メスだからな」
「??」
そのやり取りを聞いていた、側にいた長身の男が突然 笑いだした。
「はっはっはっ! そりゃ、いねぇよ。なんせ“アレ”は おれの迫真の鳴き真似で…」
男がそう言い終わる前に、ローは刀を抜いた。
「ま、待て! 兄ちゃん、落ち着け!!」
逃げまどう男を、ローは容赦なく解体(バラ)しにかかる。
アルコと残された男達は、若干あきれてその様子をみていた。
(『鳴き真似』…! あの昨夜の温泉の時のか)
そう言えば、鶏の鳴き声に一度はその行為を中断させられた。“アレ”があの男の仕業だったってことは、アイツはあそこにいて ひょっとすると覗いてたのか。
(最悪…)
アルコは顔が熱くなるのを感じて、顔を覆うようにほほに手をあてる。