第28章 甘いもの
ダンダンダンッ!!
「アルコ! ココにいるのかい?」
アルビダにシャワー室の金属製の重い扉をノックされ、我に返った。
「はい! います、います! もう出ます」
鏡の自分をみながら もう一度 両ほほを両手で挟み、絆創膏とともに顔の火照りを抑える。
アルコが扉を開ける前に、アルビダが次の言葉をかけてきた。
「じき出航しようってのに、トラファルガーが帰ってきてないみたいなんだけど…、そこに一緒にいるのかい?」
アルコは中がよくみえるように扉を大きく開けた。
「まさか…、いませんよ。戻ってきてない?」
「ああ。知らないかい?」
「ええ。…木、斬ってたから。出来ました、木材」
「ご苦労さん。今、男共に運ばせてる」
*
アルコの作った角材と板材は 甲板のすぐ下の海岸まですでに運ばれていて、そこから船に乗せる作業が始まっていた。
アルコは その作業をくぐり抜けて船を降り、男達が狩ってきた獣を見せ合っている集団に近づいた。
「ロー、見なかった? 森で一緒に獣 狩ってたんじゃないの?」
「いや、あの兄ちゃんはでっかい獣を何匹か仕留めたんだが、『いらない』とか言っておれに手柄を譲ってくれたんだわ」
「え?」
アルコの困惑をよそに、周囲からは「自分で狩ったんじゃねぇのか」「ずりぃな!」などの罵声があがる。
「なんか別のもん探してたっぽいな。海岸沿いからずっと」
「??」
噂をしていると、大きな山の方からローが戻ってくるのがみえた。手にはなにやら小さな袋を提げている。