第28章 甘いもの
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「開け」
温泉の石垣に座らされて、内ももに触れられると、これから与えられる刺激への期待感から、身体が震えた。
「したかったんだろ? ずっと」
「…別に」
強がってみせたが、先ほどすでに一度挿入だけしてしまったソコはもう熱を持ち、鈍く疼(うず)いているのをアルコは自分でも感じていた。
「そうか…、おれは したかったよ」
「っ!!?」
そう言って口一は温泉に浸かったまま、ニヤリと見上げてくる。
(この、ヤりたがりの淫獣…)
口もとで恥ずかしさと嬉しさを噛み殺し、目ではジトリと口一を睨む。
しかし本当は自分だって似たようなものだ。口一のこと強く言えないので、悪態をつきたくなるのを心の内に留めた。それになんだか『好き』な気持ちに つけこまれてる気がして、悔しくなる。
『好き』だから 抱かれたい
“女”にだって性欲はあるけど…
“男”には ─── 口一には、『そんな気持ち』はあるんだろうか
暗闇に彼の妖しい笑みが浮かび、こちらの顔も同じように みられているかと思うと恥ずかしくて手の甲をほほにあて、そっぽを向いた。
人の気も知らないで、そんなに軽々しく「したい」だなんて ─── 嬉しいけど、残酷だ。
「口一ってさ…」
「なんだ」
「…ずいぶん、素直になったよね」
「っ…、」
仕返し
今の私ができる範囲での
しかし口一がたじろいだのも一瞬で、彼はすぐに余裕のあるいつもの調子を取り戻し、足を開かせてきた。
「アルコの『素直さ』が うつったのかもな…、どうして欲しい」
そう言いながら秘所に優しくふれて、濡れた指で中心を撫でおろす。尾を引くような気持ちよさに引きずられないようにアルコは再び視線をそらした。
「やだ。言わない。…口一の『寡黙(かもく)さ』が うつったから」
その返答に口一はフッと笑って
「なら別に言わなくてもいい。どうして欲しいかはわかってる」
そのまま ためらうことなく、頭で足を割って秘所に唇を寄せてきた。