第28章 甘いもの
暗闇にずいぶん目が慣れてきて、少し離れた向かいに、口一がダラけた四肢を湯の中に放り出しているのがわかった。
「ふふふ。口一、力 抜けてる」
「ああ。誰かさんに襲われても抵抗できねェな」
表情までは暗くてよくみえないけど、その声は挑発的に笑っているようだ。
首までお湯に浸かったまま スイーッと這うように泳ぎよって、力の抜けきった口一の身体の上にまたがった。
「船に戻ったら また貼ってやるから」
そう言ってほほに触れて、絆創膏を剥がされる。ぽいっと後ろに放って、お湯をつけた手で撫でるように洗ってくれた。
「…ありがとう」
その手をとらえて、指先をペロリと舐めてから咥える。唇で包んで吸い上げたり軽く歯をたてたりして遊んでいると、口一は隣の指も合わせて口内に突っ込んできた。
それを熱いモノに見立てるように、舌を絡めて出し入れを繰り返す。
「ん…、ふふっ、…っ」
見せつけるように指の股にまで舌を這わせた。海水のしょっぱさもなくなり、唾液でぬるぬるになった指で、口一は口内への挿し入れを続けたまま誘導するように自分の口もとまで持ってきた。
そこで指を引き抜かれて、急に口内が寂しくなったアルコは、口一の両肩に触れて目の前にあった唇から舌を吸い出した。
唇が重なったとたんに 身体の芯がムズムズする。アルコはその感覚を噛みしめるために、目を閉じて舌をくすぐり続けた。
口一の ぬるついた指は後ろでまとめた髪に埋められ、後頭部をつかまれて捕らえられる。
その温度や感触によって、指よりも直接 体内を味わうことができる舌。唇を何度も何度も重ね合わせ、吸ったり挿し入れたりして二人はキスを深めていった。