第28章 甘いもの
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「驚いた…、やっぱり強いんだねぇ、アンタ達。ウチに所属すればガッポリ稼げるよ。どうだい?」
身体より大きな袋をさげて、ローとアルコはアルビダの船に戻ってきた。
ローはアルビダの前に袋を置いて「おれ達にも金を分けろ」と、いつもの定位置へ戻っていった。
「“キャプテン”は誰の下にも つかないと思う」
アルコはアルビダの提案を笑顔で断って、慌てて逃げていく海賊船を見送った。
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立ち寄った島は、やはり無人島だった。大小2つの山が繋がったひょうたんのような形をした島で、船はちょうど山の谷間のくびれた部分に停泊した。
クルー達 数名は、偵察と称して とにかく上陸していった。
アルコも とりあえず上陸し、岩場の海岸で地面を踏みしめ、大きく伸びをした。
(森へ入って果物でも探そうか…)
そう思っているところへ、小さい山の方からクルーの男が2人、アルビダの元へ走って戻ってきた。
「アルビダ姉さん! 海岸沿いの反対側に温泉が湧いてます!!」
「へぇ~、そりゃいいじゃないか。入るかい? 男共より先に」
アルビダは振り返り、アルコに向かって声をかける。急な誘いに驚いて、アルコの返答は しどろもどろなものになった。
「え、あ…、いや、私…は、大丈夫! 遠慮しときます」
「なんだい、生娘(きむすめ)でもあるまいし」
アルビダは鼻で笑って、クルー達から島の報告を受け始めた。
いつの間にか後ろに立っていたローは、そのやり取りをみていたようだ。
「いいのか?」
「うん…、だって」
(アルビダさんも根っから悪い人…という訳ではなさそうなんだけど…)
まだ知り合ったばかりだし、治療が進んだとはいえ“珀鉛病”の白いアザがまだ残る身体をみられるのには、やっぱり抵抗がある。
「水と…、肉になりそうな獣がいたら、なんか狩ってきな。滞在は…そうだね、明日の夕方くらいまで。いい獲物取ってきたヤツには恩賞を出すよ!」
「恩賞だって」
「ああ。金はあるに越したことはない」
血気盛んなクルー達の「うおぉぉ!」と怒号の中、二人も顔を見合わせた。