第28章 甘いもの
ズバァァン!!
バキィィィッッ!!!
「うわぁっ!! なんだッ?!!」
「わかりませんっ! キャプテン」
「き、斬られた…?」
その海賊船の甲板は、一瞬にして混乱に包まれた。船尾から10数メートルもの水柱が立ちあがり、最後方のマストが斜めに斬られバキバキと音をたてて倒れ始めている。
ザブンと大波をかぶった甲板後方。
海水がひいたその場所には、刀と大剣を携えた男女が立っていて、船上の男達はさらに混乱した。
「ごめん、当たっちゃった」
「…まあ、走れるだろ。上出来だ」
「なんだてめェらっ!?」
「お前らがやったのか?! よくも…」
ローは甲板を見渡した。
知った顔はない
太った男が多い、三下の海賊団
よく この“新世界”まで来れたもんだ
いや、この辺りの出身のヤツらか
リーダー格らしい ひときわ人相の悪い男に向かって、ローは歩みを進めた。
「お前がキャプテンか」
「ッ!? てめェ、確か…トラファルガー…」
「金と食糧をよこせ。…少しでいい」
ローの妖しい気迫に、船上はピリついた雰囲気となった。アルコは船の縁に腰かけて剣先を床板につき、笑顔で足をぶらぶらと揺らしている。
海賊団のキャプテンは明らかにローの覇気に圧されているが、クルー達の手前、情けないことは言えないのだろう。
「ナメやがって…! 『はい、どうぞ』と差し出す海賊がいるか」
「差し出した方が身のためだぞ」
「キャプテン! コイツ…、ヤベェヤツです!」
「七武海だ…。政府の狗(いぬ)め!」
スパァン…!!
声があがった方を振り向かずローが片手で一太刀振るうと、首や胸から身体が切り離された男達が困惑の悲鳴をあげた。
「半分よこせ」
「増えてんじゃねぇかっ?!」
「当たり前だ。これ以上 手間を増やすなら全部いただく」
「くそっ…!」
引くに引けない様子の海賊団のキャプテン。
アルコは後ろから迫り来る船を振り返ってから、笑顔で掛け合った。
「半分で勘弁してあげるから。
あの人達が来たら…全部持っていかれちゃうよ。私達なら半分で、あの人達には上手いこと言っておいてあげるから」
男の威圧感と女のニッコリとした笑顔。
不気味な取り合わせに、男達は戦慄した。