第28章 甘いもの
ローがみつけた島は 目的地のミストリア島ではないが、この船は一旦あの島に立ち寄ることにしたらしい。
この船のクルー達は島の存在に気づいていなかったらしく、ロー達の冷静な態度を責めた。
「なんだ、お前ら。もうちょっと嬉しそうに『島だぁ~!!』とか言えねぇのか?!」
「だって気づいてるのかと思って。見張りの人とか、いるんじゃないの?」
「見張りィ?! そんなもんいねェよ、めんどくせ…イテェッ!」
言い終わる前にアルビダの金棒が振り下ろされた。
「交代で見張れって言ってんだろ?! サボってんじゃないよ!」
「島」と聞いて、自由にだらだらしていたクルー達が続々と甲板に集まってきた。
しかし島が近づくにつれて、逆に士気は下がっていった。
「小せぇ島だな」
「無人島か…」
口々に文句を言うクルー達に、アルビダは喝を入れた。
「獣くらいいるかもしれないだろ? 肉と水があれば補給するから、文句言わずにさっさと寄せな」
ローはどこかから調達した双眼鏡で島をみている。
「先客がいるぞ…、海賊船か」
アルビダはローの双眼鏡を奪って、忌々し気に覗きこんだ。
「チッ…、厄介だね。まぁ、食糧や宝が奪えればいいか。で、誰が行くんだい?」
双眼鏡を外して甲板に向かって声をあげる。
相手はどんな海賊なのか、どれくらいの人数、強さなのか。まだまだ船のいる島は遠く、まったく情報がないため、船内はただ戸惑いとどよめきに包まれている。
ローはアルコに目配せをした。
アルコはそれだけですべて理解して、竪琴を背中に担いだ。
「おれ達が相手してやるから…」
「お金、ちょうだい」
アルコはアルビダに向かって、おねだりするようなポーズで笑顔をみせる。
「まぁ…実入り次第だね」
まんざらでもない様子で、アルビダは腰に手をあてた。しかし、血気盛んな一部のクルー達は納得いかない様子だ。そんな男達を、アルビダは取り成した。
「あんた達 傭兵は、ウチの大事な“商品”なんだから。ここは七武海様のお手並み拝見といこうじゃないか」