第27章 価値観
バギーの執拗(しつよう)な追撃を阻止したのは島民達だった。島民達は、自分達のその手で大僧正と僧兄を縛り上げた。
縛られてしゃがみこむ二人に、バギーはナイフを突きつけて問いただす。
「オイ、このクソ坊主ッ! 結局、“男の宝”はどこにあるんだッッ!?」
「“男の宝”なら…、もう貴様にやっただろう…」
僧兄は消沈した眼差しをローに向けた。それをみたバギーの矛先が、ローに向けられる。バギーは上半身だけ切り離してローに飛びかかり、胸ぐらをつかんだ。
「何ィィ? 貴様、半分よこせとあれほど…」
「…は?」
「え…、待って。“男の宝”って………
もしかして『処女』のことなの…?」
アルコのその推測に、島民やユナ達も誰も答えない。その沈黙が、肯定を意味していた。
「…くだらねェ」
「くだらねェな」
ローとバギーが似たような呆れ顔をして言う。図(はか)らずも声を揃えて言ったことで、二人は心外だとばかりに顔を背けた。それを見たアルコは、どこか誇らしげな顔で笑った。
「で、貴様…“男の宝”を受け取ったのか?! ハレンチ罪の上に鬼畜か…。まったく どうしようもねェな」
「ヤってねェ…!」
「なんだ、不能か」
「お前…」
「まぁまぁ、いいじゃない」
バギーとローの言い合いをアルコが制した。
「よくねェだろ。おれは…」
「大丈夫。見てよ、みんなわかってる」
島民達はユナとユナの父を崇めているようだ。「伝説の処女」だとか「新しい大僧正」などの声があがっていた。
「都合のいいヤツらだな」
「しょうがないよ。拠りどころとしての“神”は必要だよ」
“宝”は手に入らなかったが、島民達からの信頼は得られただろう。
ローも破傷風の治療をすることになりそうだし、自分達がこの島から出ることにも協力してくれるかもしれない。