第27章 価値観
「百年に一人の『処女』が…、その資格を見知らぬ海賊に捧げて失うとは…! お前には、もう“魂”は見えんのだろうっ?!」
「百年に一人の…」
「『処女』…?」
ローとアルコの困惑に構わず、ユナは今までの彼女らしくない強い口調で反論した。
「いいえ!!
わたしには、まだ みえます!!
大僧正……様の………
『穢(けが)れた魂』がっ!!!」
「「「!!!?!!」」」
「「「っっ!?!!!」」」
その場にいる島民は、全員が目を剥き、アゴが外れるかというほどの形相でおののいた。その場に倒れ込む者、腰を抜かす者までいる。
「よく言った、ユナ」
「あとは私達に任せて」
ローとアルコは島民が怯んだスキを見逃さず、戦闘体制をとった。
ローが“ROOM”を発動しようとしている。アルコはそれを援護しようと周囲を警戒した。
輝きを増していく大僧正が透明なサークルに包まれるその瞬間 ────
「そこにいたか クラァ!!
くらえッッ! バラバラ砲っ!!!」
ドカッッッ!!!
後ろからのその一撃に、大僧正は目玉を飛び出させて吹っ飛んだ。
「ぎゃはははっっ! みたか! この腐れ僧侶がっ!!」
バギーは その一撃だけでは飽き足らず、大僧正達に追い討ちをかけるように踏んづけてボコボコにしていく。
「お父様…!!」
「ユナ…、大丈夫か」
バギーとともに現れたユナの父は、バギー同様ずいぶんと汚れた姿をしていた。二人は協力して、寺院から脱出してきたのだろう。
父は娘のひたいの血を拭い、二人は抱きあい お互いの無事を喜んだ。
ローとアルコは完全に乗り遅れ、もはやそれらの様子をただ見ていた。
「弱っ…。一撃じゃない」
「ただの光るジジィだからな」
ローのその言葉に、ユナの父は一瞬 間を置いてから豪快に笑いだした。
それをみた島民達にも、ゆっくりと笑いが伝染していく。始めは恐る恐る。しかし徐々に高らかになっていく笑いは、もはや誰にも止められなかった。