第27章 価値観
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「起きたか」
アルコが目を開けた瞬間にそう声がかかる。まるで目を覚ますのを待ち構えていたかのように。
部屋を囲む白い布は、朝日で白み始めた外の明るさを反映していた。
「…おはよう」
内ももの筋肉にダルさを感じながら、身を起こした。ローが渡してくれたお碗の水を飲んで、あたりを見回す。
広いベッドの端で すうすうと寝息をたてて安らかに眠っているユナ。ベッドには、昨晩の激しいセックスの痕跡。
軽くため息をつくと、ローにお碗を取り上げられた。
ベッドに戻ってきたローは、何も言わずに押し倒す勢いで口づけてきた。抵抗するほど 身体はまだ覚醒していなくて、そのままベッドに沈み込む。口づけは なんの躊躇(ちゅうちょ)もなく、あっという間に首筋から胸元へと下りていく。
「まだしたいのっ!?」
「約束だろ」
「そんな約束…、したっけ」
動きが止まり 沈黙が流れた後、ローは再び胸元を緩く触りながら続けた。
「後でゆっくり、何回もするって…約束しただろ」
「…“何回も”なんて言ったっけ」
再び静止と沈黙が流れる。
催淫効果のあったらしいお茶に含まれていた薬は、強烈だが持続性はあまりないようだった。現にユナは、挿入もせず 一度達しただけで疲労と安心で眠ってしまったし、アルコも一回のセックスで十分に疼きが治まり、その後 気絶するように眠ってしまった。
そもそも その“一回”が激しすぎた
あれでも ローには足りなかったのか
ていうか、もしローがアレ飲んでたら、一体どんな惨事になったことか
しかし愛撫を止めたローは、プイッと背を向けてしまった。
アルコはユナがまだ起きそうにないことを確認してから、その背中を追いかけて 後ろから腰のあたりに触れた。
「わかった、わかった。いいよ、しよう。…もう一回だけね。
ただ…、終わったらでいいから、お願いがあるんだけど」
「? ─── なんだ、珍しいな」