第27章 価値観
ドキドキする
ぼーっとする
もやのかかったような視界に白い肌の輪郭だけが鮮明に見えた。アルコはユナの裸の後ろ姿に釘づけになった。彼女のその身体は、少女から女になりかけているものだった。
きれい
本当にきれい
──── バサッ!
その思考を遮るように、ローがベッドの上にあった白い布を 乱暴にユナに投げた。
「どういうつもりか知らねェが、勘弁してくれ」
「治療の…、条件として、…大僧正様が、ローさんに捧げよと。そうでないと治療は認めないと」
「おれをバカにするなよ。別にあのジジィが認めなくても、おれが必要だと思えば治療はするんだ」
「それでもっ! このまま帰る訳には…! そうしないとわたしの父は…、大僧正様に…」
そう言って、ユナは肩を震わせた。
アルコはふらつく身体を引きずりながらベッドから降りて、泣き出してしまったユナに近づいた。
きっと人質に…、とられてるんだ
脅迫されてるんだ
アルコは 床に落とされた着物を拾い上げ、後ろからユナの肩にかけてから 優しく抱き締めた。
「大丈夫だよ、ユナ。お父さんはまだあの寺院に? 私達が助けに行くから」
「…いけません。お導きに逆らうことはできません」
「自分を大事にしないと。ユナの身体はユナのものだよ。しかも その年で…、処女なんじゃないの?」
「…ええ。そうです。…それがわたしの『価値』なんです」
「そんな…、なら尚更ダメじゃない」
ユナは涙を拭いてアルコに向き直った。
「いいんです。どうせもうすぐ…。15になったら“儀式”に出て、大僧正様に捧げなければならないんです」
「「ハァ??!!」」
二人は場違いな大声をあげた。