第27章 価値観
テントの入り口に灯りと足音が近づき、入り口のカーテンが揺れた。
「ローさん、アルコさん…。お話が。入ってもいいですか…?」
「いいけど」
「ダメだ」
同時に答えた二人はベッドの上で睨み合った。
「ユナ、ちょっと待ってね」
アルコは入り口にそう声をかけて、着物を整える。不満そうなローの顔に手を添えて、なだめるように言った。
「今日は絶対、先に寝ないから。後でゆっくり、ちゃんとしようね」
*
「お茶を…淹れますね」
テントに入ってきたユナは、いつもの紺色の袴ではなく、アルコと同じような一枚ものの着物を着ていた。部屋はランプのオレンジ色に包まれているので正確な色彩はわからないが、その着物の白っぽさがアルコのものとは少し違って黄色みがかってみえた。
「いいよ、私が淹れる。ユナは座ってて。私も結構、上手に淹れれるようになっ ────」
「わたしが! …わたしが淹れます」
ユナのその声と開かれた焦点の定まらない瞳には、なにか決意のようなものが感じられた。アルコはそれに気圧(けお)されて、ポットから離れた。
「…そう? じゃあ、お願い。ローはいらないんだよ。このお茶、酸っぱいから」
「………そうですか」