第27章 価値観
穏やかな時間と愛撫の中、『あの時』と同じ言葉が響いた。
「アルコ…、
──── きれい だ」
その言葉にアルコはローの耳を撫でていた手を止めた。胸元に吸い付いているローの頭を上から みつめる。
『あの時』
初めてローとセックスをした時
『こんな身体』を見られるのが嫌で
『こんな身体』をどう思われているか
勝手に想像して、傷つくのが嫌で
心と身体を閉ざしていた私の身体を半ば無理矢理 曝(さら)して、その時に言った言葉と同じ
でも
『あの時』と違うのは ────
あの時はその言葉を “嘘”だと思った
彼は私の『こんな身体』でもいいから
とりあえず
ただ セックスをしたくて
ただ 快楽を得たくて
ただ 欲望を吐き出したくて
そのためについた 優しい“嘘”
私を傷つけないために
その気にさせて 身体を許させるために
私の機嫌を損ねずに とっとと足を開かせるために
そう思って、ローのその言葉を“嘘”だと決めつけた