第27章 価値観
寝間着にしている白い着物の紐を引かれハラリと はだけさせられると、風呂上がりのしっとりと上気し緩んだ胸があらわになった。
腋や腹に残る白いアザ
肩や胸に刻まれた古傷
じっと見られるので、今さらながら恥ずかしくなり両腕で隠すように胸の前に当てた。
「下着…つけてないのか」
「だって、ひとつしかないから。洗っちゃった」
「確かにな」
着のみ着のままで漂流して、下着も服も一着しかない。ユナが持ってきてくれた この島特有の服はあるが、下着までは与えられなかった。
「……ゃ…」
首筋に近づかれ、触れられてもいないのにくすぐったくて首をすくめる。それを拒絶と思ったのか、ローは一旦動きを止めた。
彼が瞳の鋭さを落としたことを察したアルコは、微笑みながら目を閉じて、ゆっくりと首筋を開いて差し出した。
(『や』じゃなかったね…)
こんなに好きなのに
本当はして欲しいのに
それを言葉以外で伝えるには
どうすればいいの
目を閉じたまま、手さぐりで足元に手を伸ばす。指先が彼の膝か太ももあたりに届いたので、ねだるようにスリスリと触れた。
「…………ぁっ…」
しばらくの沈黙の後、ローの唇がアルコの首筋に優しく触れた。首の皮から幸福感がじんわりと広がっていく。
幸せ
本当に幸せ
私にはまだ
「好き」と言える強い心がないけれど
決してあなたは
「好き」と言っては くれないけれど
たとえあなたが
「好き」と言ってくれなくても
柔らかく、緩やかなその刺激に、アルコは身を委ねた。
「あ……、んんっ、…っぁ」
チュッ、チュッと濡れた音を響かせながら、ゆっくりとキスが首筋から胸元に下りていく。時折吸いついたまま口内で舌を動かされると、むずむずと暖かい刺激が身体を浸透して、芯のような部分がくすぐられた。
気持ちいい
寺院を探検して適度に疲れた身体。その汚れと疲れをお風呂で洗い流してサッパリしたところに、ゆっくり…ゆっくり…濡れた跡を引きずりながら、ひとつずつ丁寧に口づけを落としてくれる。わざと時間をかけて、その感触と反応を味わうように。