第27章 価値観
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お風呂から出て、お茶を淹れる。
この島特有の、香ばしくて酸っぱいお茶だ。小さなお碗に二人分淹れようとするが「いらない」と言われて、ローは沸かす前の水を自分で汲んで飲んだ。アルコは自分の分だけお茶を注いで飲んだ。
ランプの灯りが揺らぐ中、ベッドに上がると、足のケガの具合を確認された。血も止まって、化膿している様子もなかった。
「バギー…どうしてるかな。“宝”にたどり着いたかな」
「今から おれに抱かれるっていうのに…他の男の話とは いい度胸だな」
そう言って、すねの傷を避けるように立てた膝に噛りついてきた。ほとんど肉がついていない膝に、直接骨をかじられたような痛みが走る。
「…っ!、違うよ…」
「違わねェだろ」
眉を寄せたアルコを見て、今度はその膝を癒すように口づけた。それを合図に、アルコはため息とともに身体の力を抜いていく。ローは白い着物から露出した手足にキスを始めた。
まるで“宝”を扱うように
大事に 丁寧に
ローは…敬意を払ってくれる
『私』に
『女』に
『尊敬しろ。敬意を払え。“海”と“女”に』
それはシルバーさんの教えでもあるけど、元々彼の中に備わっていた姿勢のような気もした
とくにシャボンディ諸島で潜水艦を降りて二人きりになってからは、私を『女』として尊重し、尊敬し、労(いたわ)ってくれてる気がする
“お前”…って言わずに、ちゃんと名前で呼んでくれるようになったのも そう
(時々、言うけど)
珀鉛病の治療ということもあるけれど
ストレスやケガを気遣ってくれるのも そう
(ちょっと大げさな気がするけど)
昨晩だって…寝てる私を起こしてまで、無理矢理 身体を要求するようなことは絶対にしてこない
強引なようで『本当は』優しい
そんなところが、大好き
そんな彼とのセックスでは、『女』で良かったと心から思う
こんなアザや傷だらけの身体で、もう二度とセックスなんかできないと諦めていた私に
『男』として反応してくれている
それが何より嬉しい
あなたがこんな私を『女』として扱ってくれるならば
私はあなたに
何だってしてあげたくなる