第27章 価値観
しかし、アルコのそんな心配とは『別のこと』を大僧正は言い出した。
いや、『別』ではあるが、本質的には『同じ』ようなことを。
「“穢れた女”がこの寺院に足を踏み入れるとは…」
カチーン
なんなのよ、コイツら…
どんだけ“女”を下にみれば気がすむの
「“女”だから、“穢れてる”って訳…。
なんなの、その理屈。
あんた達…いや生き物全員、その“穢れた女”から産まれてきたくせに偉っそうに…
男なんて、どーせ気持ちよく種 出してるだけじゃない。いい年したジジィ達が…命懸けて産んだ“母親”に、“女”にちっとは敬意を払ったら?!」
「アルコ…。言いたいことはわかるが、そこに今キレるな。話がややこしくなる。
それに…、コイツらの下らねェ価値観は、そう簡単には直らねェよ」
「フッ…」
「笑うな! 僧弟!! 貴様、それでも本当に僧正かっ」
「いや、彼女の言うことは一理ある」
「貴様……」
ユナの父がアルコに理解を示すようなことを言うが、大僧正と僧兄の矛先はローとアルコに向いていた。
もう、こうなったら力ずくで。やるしかない。
「貴様ら…、大僧正様の“コレ”をみてもまだ大きな口が叩けるかっ」
僧兄が髭を揺らしながら興奮した様子で煽る。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
大僧正が立ちあがり迫力のある顔を向けてくるので、二人は構える姿勢をとった。
なに?
なにか出るの?
技かなんかが飛んでくる??
合掌した大僧正は急に穏やか表情になり、その顔には後光が差しているようにみえる。
…いや、本当に光っている。坊主頭の背景が、光を放っている。