第27章 価値観
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「…ウェルカムって感じ?」
「だな」
翌日
二人は寺院の入り口にいた。
ユナがくれた服装に身を包んでいるので、二人は島内を自由に行動することができた。アルコは半袖の羽織りの着物に朱色の袴。腕の白いアザは隠すかどうか迷ったが、結局アルコはローに黙って布を渡し、腕を差し出した。ローは何も言わず、腕に布を巻いてくれた。
石段の隅に苔がこびりつく階段を上がると、石造りの入り口が暗く四角い口を開けていた。そのしっとりとした石柱にアルコは手をかける。
入り口がこんなに無防備でいいんだろうか。
罠のようにポッカリと開いた入り口に、外気が吸い込まれていく。まるで二人を誘うように。
「暗いぞ。気をつけろ」
「うん」
ローが先導して寺院に足を踏み入れた。階段を数段降りると、左右対称に柱が並ぶ通路が続いていた。少し歩きにくさを感じることから、微妙に上る傾斜になっていることがわかる。
入り口から差す光が足元を照らしている。しかしその光が届かないところまでくると、その明るさとのギャップもあって とたんに闇が深くなっていく。
そんな暗闇の陰湿とした雰囲気の中でもアルコの心には不安は まったくなかった。その跳ねるような足音を察し、ローは振り返らずに声をかける。
「楽しそうだな」
「だって! 宝探しなんて…初めてだから」
驚いたローは肩に担いだ刀がアルコに当たらないような動きで振り返った。
「初めてなのか? 何年 海賊やってんだ」
「え。私って……海賊なの?」
とぼけているのではなく、本気でそう思った。
自分は海賊、という自覚は ない。
剣を振り、ミホークと一緒に海に出たり、行動を共にしたりし始めた時、彼はすでに七武海に加入していた。『政府に認められた、特別な海賊』。
ルフィ達は海賊だったが、略奪や殺戮はしない。それにあの船では自分は“仲間”ではなく“乗客”だった。
ローの船に乗せてもらった時もなかば強引に、それに最初は“患者”として乗せてもらったハズだ。
でもその後、クルーの皆には“仲間”だと言ってもらって…、その時点で自分は海賊になったのかな? でもその時はもうローは七武海だったから、やっぱり『普通の海賊』って感じじゃないのかな?
やはり いまだに自分は海賊、という自覚はない。