第27章 価値観
ロー達が振り返らないことに、バギーは大声をあげるのを止めたようだ。それを合図にしたように、集まっていた野次馬達も散っていく。
「────“ROOM”」
檻から離れたところで、ローは薄い膜のドームを広げた。前を行く法衣の男が振り返る。
「── なんだ?」
何かに包まれたことを察した彼は、キョロキョロと辺りを見渡した。振り返った男にアルコは笑顔で言った。
「雨でも降りそうですね」
「…そうだな」
少し霞んだ空を見上げて、男は納得したようだ。再び歩き出したのを確認して、ローは入れ替えるように指先を動かした。
ローとアルコは振り返らない。
「ありがとう、ロー」
「他人に親切にしときゃあ…てめェにいい事があるんだろ?」
空は澄んだ様子で、雨が降る気配はまったく感じられなかった。