第27章 価値観
しばらくそんな相談をしていると、ローを投獄した初老の僧正が、数人の兵を連れて表れた。
「女、起きたのか。…服を着たのか」
「ええ。ユナって娘が、持ってきてくれました。ありがとうございました」
アルコが僧正と話し始めたので、ローは口を挟まずに任せることにした。自分とバギーは印象が悪いに違いない。
バギーも同じく『上手くやれ』というような目を向けている。三人にはすっかり連帯感のようなものが生まれていた。
「………チッ、あの女…。『僧正様』の娘だからと調子に乗って…」
「やめろ、ユナは特別だ」
若い兵が文句をつぶやくのを聞いて、僧正が諌めた。
アルコは「?」といった顔を向ける。
「あなたが…『僧正様』なんでしょ? ユナはあなたの娘なんですか?」
「違う。『大僧正様』に支える『僧正』は二人おる。ユナはもう一人の…若い方の『僧正』の娘だ」
忌々(いまいま)し気に言うので、何かしら対立があるのかとアルコは推察した。しかし出来るだけ謙虚に『僧正様』に懇願した。
「…お騒がせして申し訳ありませんでした。彼も錠を解いてくだされば服を着ます。
ご存知かと思いますが…、彼は腕のいい医者です。お騒がせしたお詫びに、皆様のお力になれることがあるかと思いますが」
そう言ってニッコリと笑う。
ローとバギーは『女が一番 悪どいな』と心の中で思う。誰もこの女が、彼らの“金の玉”を狙っているとは思うまい。