第27章 価値観
「ぶわっはっはっは! ハデに助かった!!」
「よかったね」
バギーは餅の粉やカスを撒き散らしながら豪快に笑った。
コイツのせいで餅が無駄になったじゃねェか
アルコは満足に食えたのか
ローの心配を他所に、アルコはニコニコしながら水を飲んでいる。
「あの…」
消え入りそうな女の声が、檻の外からかけられた。
ユナが畳んだカラフルな布を持って、すぐそばに立っていた。
「服か、助かる」
「貸してくれるの? ありがとう」
ユナは細長い格子を触り、それに沿って縦に布を差し入れた。
ローはそれを受け取ったが、アルコはその様子と焦点の合わない彼女の瞳を覗き込んで、格子にかけられた指に手を添えた。
「どうもありがとう。アルコよ」
「………ユナです」
「…ユナ、ありがとう」
アルコはユナの指を優しく撫でた。二人の女の顔は格子を挟んで、鼻先が触れそうな距離だ。ローとバギーはその光景に魅了されたように固まった。
至近距離で食い入るようにアルコをみつめていたユナは、急に何かに気づいたように顔を赤くして走り去っていった。