第27章 価値観
銃剣を構えた男達が小屋を取り囲んでいるようだった。野次馬のように、先ほど走り去っていった子供達の姿もある。
ローは瞳だけ動かして刀の位置とアルコの体勢を確認した。
(アルコのためにも面倒は避けたいんだが…いざとなったらやるしかねェな)
銃剣を構えた男をひとり従えて、偉そうな長い髭をアゴにつけた初老の男が入り口に近づいてきた。
銃剣を持った男達はオレンジと紺色の軽装に身を包んでいるが、初老の男だけは紺色に金の装飾が入った四角い前掛けのようなものを着ていた。明らかに格が違うような出で立ちに、(コイツが『ダイソウジョウサマ』か?)とローは推測する。
威圧感のある顔は、小屋の中の様子を見て、一瞬で崩れる。
「き、貴様っ!! ハレンチ罪だぞっ!!?」
「なんてハレンチなヤツラだっ!!」
ローは調子を狂わせながらも、とりあえずは真面目に説得をすることにした。
「船が壊れて漂着した。服が乾いてねェんだ、好きで裸でいるわけじゃない。服をくれ」
そう言ってアルコの布をもう少し首元までかけようと手を伸ばした時
「動くな!」
銃剣がその手に向けられる。アルコを狙われたことに苛立ち、ローは男に鋭い目を向けた。男はビクリとしながらも銃剣を下ろさない。
「僧正さまー!」
森から走ってきたらしい軽装の男がひとり、法衣の老人に駆け寄り何やら紙をみせながら耳打ちしている。
「七武海、トラファルガー・ロー…」
身元がばれたのか。
まあそのほうが、これ以上悪いことにはならないだろう。海軍に引き渡してもらっても構わない。この様子だと海軍のほうがいくらか話が通じるだろう。
しかし、『僧正』と呼ばれた老人から出た言葉にローは驚愕した。
「貴様の“仲間”は預かっているぞ」