第27章 価値観
「住んでいるところは、ココから近いのか」
「ええ…、この裏に村があります。海岸沿いになりますが、森の『寺院』を通れば近道です」
「『寺院』……」
厄介そうだな、とローは思った。
以前、グレート・鰤(ブリ)テン島の“聖なる森”を散策したことを思い出す。
宗教的な規則は、現地の人間にしかわからないし、思わぬことが“禁忌(タブー)”になり得る。
少女の服装からも独特な文化を持つことを感じたローは、一刻もはやく もう少し文明的な島へ移動するべきかと考えていた。
「この島から、別の島へ移動する手段は」
「この島から…出るっ?! そんなこと、出来るわけないじゃないですかっ!」
少女はあり得ないとばかりに大げさに反応した。
「なぜだ。船がないのか。それとも海流が…」
「『ダイソウジョウサマ』が禁じています」
今までのオドオドした話し方がウソのように、迷いない顔でそう言った。
面倒そうな島に流れ着いたもんだ。
しかしグレート・鰤(ブリ)テン島からもそう遠くない島のハズ。あの大型船がいくつも行き交う文明的な島と交易がない方が不自然だ。いよいよ立ち行かなくなったら、海軍に頼ることも考えるべきだな…。
ローはあぐらをかいたまま、アゴヒゲに手を当てていた。
「あの……、服を…、その方は男性ですか、女性ですか」
ああ、見えないのか。
存在はわかるが詳細はわからない程度の弱視なのか。
それならばアルコの肌は見られていないだろう、とローは安心する。
「女だ。男と女の服を1着ずつ、頼む。礼はする」
少女は驚き、目を丸くした。
「女性…! なんですか?! あなた達の“魂(たましい)”は似てるから、てっきり…」
「“魂”?」
「下がれ! ユナ!!」