第27章 価値観
添えられていた大きな布を広げて、端をビーッと破った。
口に含んだ水で濡らして、アルコの顔を拭く。
身体も一通り拭いたが、まったく起きる気配はない。
「オイ…、起きろ。水くらい飲め」
ほほを撫でたり叩いたりしてみるが、まったく反応がない。
水や食料を欲しているのは、長時間泳ぎきったアルコのほうだろう。
こうなったら胃を開けて、中に直接ぶちこむか。
『切り離されるのと、突っ込まれるのと、どっちがいい』
『う~ん…、…突っ込んで』
船の上でのやり取りを思い出す。
自分はなんとも思わないが、身体を切り刻んで取り出されるのはアルコは嫌なのかもしれない。
なぜ嫌なんだ?
恥ずかしいのか?
あんなにキレイなのに?
しかし寝ているアルコに本人が嫌がることをするのも気が引けた。
それに ────
いや
言い訳は、もうこれくらいでいいだろう
ローは再び水を口に含み、ぐったりと眠ったままのアルコの頭を抱えた。うずくまるように口づけを落とし、少量の水をどうにか飲み下させた。