第27章 価値観
小屋を振り返ると人影が動いた。
「!」
大きな台形の紺色のスカートのような、重そうな布をひるがえして女が走り去っていった。
再びしっぽのような布もみえて、さっきの女か、とローは思う。
全裸のまま走り寄るのもどうかも思い、女が小屋の裏から森のほうに去っていくのをその場でみていた。
よくみえなかったが、あのスピードなら アルコを連れ去った訳ではないだろう。
ローが絞った服を持って小屋に戻ると、入り口には小さな瓶(かめ)の上に、白い布と白い餅(もち)のようなものが置かれていた。
(助かった……)
食料と水。
怯えて逃げたようにみえた女は、ローの要求を満たしてくれた。
小屋の中ではアルコが変わらず安らかに眠っていて、ローは安心の息をついた。
洗った服を、小屋の屋根に引っかけて干した。
ローは瓶を両手で抱えあげ、中の水をごくごくと飲んだ。水に異常はなさそうだった。
(女ってのは、親切なもんだな)
裏切りや奪取が横行する海賊の世界で生きてきたハズなのに、アルコや“麦わら屋”に出会ってからどうもその価値観が揺らいできた。
そんなことを考えながら、4つある餅の1つを食べた。