第26章 漂流
『寄生したのがメスだった場合、血液中に卵が放出される可能性があるんですよ』
『通常は“身体の一部を1日中冷やす”という処置をします。そうすれば、卵はふ化せず死んでしまいますから』
ディンが以前教えてくれた寄生虫の生態とその対処法を、アルコは冷静に思い出していた。
ローが能力を使って自分で処置できればいいのだが、すぐには無理だろう。
いつ寄生されたかわからないから、リミットがどれくらいかもわからない。
このまま眠ってしまっては、手遅れになるかもしれない。
でも自分が“深く眠ってしまえば” ────
『そういう体質なのかもな、そんなに寝るのは。“体温もやたら低くなる”し………たぶん、無意識で心を守るためだ』
自分の“冬眠状態”は、体温が低いらしい。きっと代謝を落として、食事や排泄などの生物としての機能も一旦停止させるためだろう。
それなら、ローの身体を冷やすことができるハズ ────
「たぶん、今寝たら何日か起きられない。だから、私が冷やしてあげるから。…後、よろしくね」
肩を壁に預けて斜めにもたれているローの胸にひっつくように身を寄せながら言った。
もう 限界
だって、ずーっと泳いだんだよ
重い 重い ローを抱えて
休ませて ────
「待て。まだ、寝るな」
「何…、なんで? どしたの」
むくりと顔をあげてローを見た。
アゴのあたりを触られると、自分の肌がガサガサとしていることを感じた。
ああ 私
顔中、ローの血だらけか
血が乾いてきたのか
汚れてるとか
もういいでしょ 今はどうでも…
休ませて ────
「ありがとう」