第26章 漂流
「はぁー………、はぁー………、
ロー…、大丈夫………?」
傷口の圧迫止血を続けながら、アルコはローの腕の上から降りた。
「ハァッ………、ハァッ………、あぁ」
ずるずると這い起きようとするのでそれを支える。ローは自分で傷口を押さえ、浅く壁にもたれるように座った。
「釣り針と…糸がないか、探してくれ」
「わかった」
夜明けが近く、薄明が始まったらしい。暗く まだ色彩は感じないが、ずいぶんくっきりみえるようになってきた。明るかったら、鮮血の色にビビってしまい、ここまで出来なかったかもしれない。
棚の中にあった釣り針と糸を渡すと、ローは自分で傷口を縫った。
時折、荒い呼吸をするために手を止めるので、アルコはその度に心配し、身体に触れたり声をかけたりして励ました。
処置が終わると、針と糸をその辺に捨てて、ぐったりと寄りかかった。
「私も…、休んでいいかな」
「ああ、来いよ」
手をさしのべられるが、アルコはそれを背にして服や靴を脱ぎ始めた。
服には血液がべったりとついているようだが、もともと海水でずぶ濡れだし、黒い服だし、まだ薄暗いので、どれくらい悲惨な状況なのかは よくわからなかった。
一糸まとわぬ姿になったアルコは、ローの手を取り、覆い被さる。もともと全裸のローに、アルコのしっとりと濡れた冷たい肌が重なる。
1cm角ほどの目合いの網を布団のように自分の肩にかけた。ゴワゴワして肌ざわりは悪いが、乾いているので磯臭さは あまりなかった。
「ずいぶん積極的だな」
「ああ…、違うよ。冷やさないと。でしょ?」