第26章 漂流
剣を握り直して、糸のように細い息を吐き、集中する。
細かい剣技が苦手、とか言ってられない
やらなくちゃ
苦手でも やる
今から得意になればいい
絶対 できる
美しく、繊細なローの太刀筋を思い出す。
ローみたいに
いつ斬ったかもわからないように
触れるように
深すぎないように
息を止めて口を結び、まばたきもせずローの腕をみつめた。
( ──── ココだ)
剣の表面に鋭い覇気をまとわせて、水平にスパッと払った。
ピピピッッと線上に血液が飛び散る。アルコは頬についた血も拭わずに、大剣をガララランと鳴り響かせながら捨て置いた。
腕を両手で しごきあげて手首の方へ追いつめる。
「………………ぅう、……ぁっ………!」
ローが声を出すのを堪えているのが後ろから聞こえる。
ゴメン
がんばって
ホント ゴメン
もうちょっとだから
ぐったりと置かれた腕をぎゅうぎゅうと絞っていくと、血液がドクドクと溢れだした。
大丈夫なの、コレ?!
血が出過ぎじゃない??
深く斬りすぎたかも…っ?!
血じゃなくて…、本体っ!!
……出てこい、コラァッッ!!!
傷口まで皮膚の上から押していく。
も、もうちょっと………
逃がさない…!
ココで逃がしたら………っ!!
ダメッ…!
流した血が無駄になる
絶対…、絶対……!
絶対に!! 逃がさないッ!!!
アルコは両手で腕を掴んだまま、傷口に噛みつく勢いで唇を寄せた。