第26章 漂流
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背面低いところにあった満月が頭上高くに登った。
つまり、日没からさらに6時間ほど泳ぎ続けたということだ。
終わりがないと思った漂流、遠泳。
満月が、西へと傾き始めた頃
夜明けが訪れる前 ────
「ふー………………、
はぁっ………、はぁっ…、はぁっ………
ふー………、はぁっ、はぁっ…」
アルコはローを背負ったまま、海底に足をつけて立ち尽くしていた。
着いた
着いた 着いたよ
島まで、たどり着けた
『クウトリワ』の木片を押しながら、ザブザブと陸に向かって歩く。腰までの浅瀬になってくると、背負っていたローの重さが変わった。
“海に嫌われた能力者”故に ────
海から出た その身体は不思議と軽くなった。
(普通、逆でしょ。どうなってんのよ、“能力者”ってヤツは)
ずり落ちそうなローを、一旦身を屈めてから、おんぶの状態まで抱え直す。
今までの負荷が大きかった分、かなり楽に思えた。
それに、絶望的な状況は乗り切れた。
心は希望に満ちているから。
(相棒、キミもありがとう。がんばったね)
『クウトリワ』の木片に労いを告げて、片手で軽々と抱えあげ、月明かりに照らされた、白く色彩のない砂浜を踏みしめた。