第26章 漂流
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──── 負けない
『海は優しくて、残酷じゃ』
──── 死なせない
『いつかおれを
フレバンスに連れていってくれ』
──── 連れていく
『人間には“負け”はないのよ』
──── 負けない
『預けるぞ。おれの命』
────…………嬉しい
アルコはローを背負ったまま、『クウトリワ』の木片を沈めるようにつかみ泳いでいた。
ローの命を預かっている。
本当は何度も死ぬと思った
“負け”ると思った
どうしようと思った
自分にはムリだと思った
プレッシャーに押し潰される
そんな重大なこと、到底できないし
耐えられないと思った
しかし、半日以上も大海原を泳ぎ続けたアルコの心は変化していた。
──── 嬉しい
預けられていることが、嬉しい
信頼されていることが、嬉しい
ローのために、自分が何かできることがあるということが、嬉しい
知らなかった
『預けられる』って
こんなにも嬉しいことなんだね
こんなにも幸せなことなんだね
あなたが好きだから
あなたと共に行きたいから
あなたと生きたいから
「────!!」
ねぇ、ロー
もしかして
『預けろよ。
もっとおれに、手放しで』
シャボンディ諸島で潜水艦を降りた時
ローが、もっと私に『預けてほしい』って言ったのは
もしかして