第26章 漂流
「ふ~…。ロー、大丈夫? 自分でつかまれる? ちょっと休憩させてね」
ずぶ濡れで木片の上にべったりとうつぶせているローに泳ぎ寄り、笑顔をみせた。
本当は笑う余裕なんてなかったハズなのだが、ローを背中から下ろしたことで、予想以上に身軽になり、まだもう少しいけるような気がしたのだ。
彼はうっすらと目を開けた。
その目には いつもの鋭さはまったくなくて、なんだか その弱々しさが かわいくみえたので、アルコはまた笑った。こんな命がけの状況で不謹慎なのはわかってるが、自分の中の母性みたいなものが どうしようもなく疼(うず)いた。
守ってあげる
だから、大丈夫だよ
そう思って手を伸ばし、帽子を脱がせて竪琴の弦の間にひっかけた。現れた濡れた前髪を分けてあげると、目だけでなく口を動かし始めた。
「お、れは………」
「?」
何か言いたげなローに耳を寄せた時、再びうねりが始まり大波が迫ってきた。ひとつ目はうねりに乗れたが、ふたつ目はタイミングが合わず、波の下に入り込む。
「つかまっ ────」
木片が転がるように倒れ、ローが海に落ちた。幸いアルコがいた方に倒れこんできたので、木片を一旦離してローをつかみ、水面に泳ぎあがることに集中した。
もう…、重いっ! 重いぃッッ!!
再びローを背中に担ぎ、木片を探して泳ぐ。波をいくつかやり過ごしてから、なんとか木片までたどり着いた。