第26章 漂流
波間から、船の屋根らしきものがチラチラと見えた。
大破した船の残骸。
────── !!!
もはや船とは言いがたいその残骸に乗っていたのは、金髪の子供が二人。
アイビーと、彼によく似た女の子。
二人で協力して、何か四角いものをブランコのように揺らしている。
あれは
『クウトリワ』の木片 ─────
放物線を描いて空中に放られた木片は、アルコの目の前に着水した。
必死に泳いで、その上に泳ぎ上がる。
「ハァッ、ハァッ、………ハァッ、
うっ………、ううっ…グスッ」
半身を木片に乗り上げ、呼吸を整える。ローを背負ったまま乗り上げると、木片はほぼ水面まで沈んだ。
しかし、泳ぐことなく安定した呼吸が出来ることに、張りつめていた緊張が解かれ、アルコの目から涙がとめどなく溢れた。
本当は、もう無理だと思った
まだ遠く見えてもいない島になんて、到底たどり着けないと思った
大丈夫 いける
これならいけるかもしれない
“負け”ないと、信じてよかった
あきらめないでよかった
ありがとう、アイビー
ありがとう、アイビーの妹
ありがとう、シルバーさん
ありがとう、アンバーさん
ありがとう、ディン
ありがとう、ロー
ありがとう、“神様” ──────
アルコは木片の上で身を起こし、船の残骸を見た。波に揉まれてさらにバラバラになったそこには二人の姿はすでになかった。